日本病理学会が市民向け動画「病理診断を知っていますか」を作成しました。
「NPO法人PathCare」が女子高生向けに「病理医」紹介のアニメーションを作成しました。
「NPO法人 PathCare」が「バーチャルスライド(VS)画像による診断」を体験するサイトを開設しました。
広島大学医学部ふるさと枠卒業生の知事が指定する診療科に「病理」が指定されています。
医学部以外の出身で医歯科学専攻(修士課程)あるいは医歯薬学専攻(博士課程)に入学してがんの研究がしたい・病理の勉強がしたい人も大歓迎です。
病理学は病因・病態を究める統合の医科学であり、医学・医療の根幹をなすものです。病理には、病理診断と実験病理のふたつの柱があります。分子病理学研究室(旧第一病理)では、臨床科として診断の要である病理診断を実践し、また病理専門医を育成するとともに、基礎医学として病態に根ざした先進的・探索的・分子病理学的研究を行っています。個人の特性あるいは志向に合わせた大学院教育/専門医教育/研究者の育成を行います。個性が伸ばせる環境を作り、異なったベクトルを融 合し、総和として統括的な病理学を推進したいと考えています。
重要なことは、形態の分子基盤を知ることにより病因・病態に基づいた深い病理診断、ゲノム異常に基づく分子病理診断が可能となり、病理組織を通してみた病気の実像から新たな医科学研究の展開が生まれてくることです。
教室の方向性は、
「Morpho-pathological Genomics:病理形態と機能/遺伝子・分子異常との接点」
です。
病理診断は、適正な医療の要であり、年々検体数が増加すると共に、医療の高度化によって高い精度・詳細な診断情報が求められています。さらに、分子標的治療・ゲノム医療の時代になり、その診断を担う病理学の重要性はますます高まっています。
H19年には「病理診断科」が標榜科として承認され、H20年には保険診療の項目として「病理診断」が独立しました。診療報酬点数も大幅に上昇してきています(H18年以前255点→H20年410点→H22年500点→H24年400+320点)。しかし現在のところ、病理医は全医師の1%、専門医は全国で 約2500名であり、アメリカと比較して人口10万人あたりの数で約5分の1に過ぎません。2008年の日本医師会の調査でも診療科別で不足する医師 の第1位(充足率26%)に挙げられています。広島県でも病理医不足も例外でなく専門医は約40名、多くの病院から常勤病理医の派遣依頼が来ていますが対応できないのが現状です。また、がんゲノム医療においても、分子病理医は欠くことのできない存在です。
私たちの教室では、2000年以降で病理専門医10名以上を輩出しており、近年の広島地域の病理医育成の中核となっています。みなさんとともに病理を通じて明るい未来の医療を築いていきたいと考えています。
医学部医学科を卒業し、病理専門医およびがん病理研究者を目指す人を対象に記載しています。
病理のわかる臨床医を目指している人、また、他学科の出身で、がん研究がしたい・病理の勉強がしたいという目的で医歯科学専攻(修士課程)あるいは医歯薬学専攻(博士課程)に入学を希望している人は連絡してください。別途説明します。
専門医研修は広島大学病理専門研修プログラムにしたがって行ないます。
1年目 | 院内剖検執刀、病理診断研修を開始、症例検討会/CPC:研究テーマ決定/研究開始 |
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2年目 | 院内/院外の剖検執刀、病理診断、症例検討会/CPC:研究継続/全国学会発表 |
3年目 | 院内/院外の剖検執刀、病理診断、関連病院の病理診断、症例検討会/CPC:研究継続/全国学会・国際学会発表/論文発表 |
4年目 | 院内/院外の剖検執刀、関連病院の病理診断、症例検討会/CPC、専門医試験受験:研究継続/全国学会・国際学会発表/論文発表/学位審査 |
5年目以降 | 以上の4年間で「病理専門医」と学位「博士(医学)」の両方が取得できます。 その後は、本人の希望により、海外留学(米国、ドイツ、カナダなど)、関連病院病理診断科勤務、大学教員、研究所研究員などに進むことができます。 |
分子病理学研究室(第一病理)では、2000年以降で10名以上の病理専門医を輩出しています。
本人の希望を最優先し、その特性と病院側のニーズとを考慮して決めます。
全国で多くの女性病理医が活躍しており、病理の後期研修医は約50%が女性です。急患や当直がなく自由裁量で使える時間の多い病理医は、ワーク・ライフ・バランスに優れ、妊娠、出産、子育てなど時間的制約を受けやすい女性にとても向いている職業です。私たちの教室でも女性の入局者は大歓迎です。産休、育休はしっかりと保証し、休職後の職場復帰を支援するとともに、家庭や子育てと仕事との両立の中で十分に活躍できる環境を作ります。日本病理学会においても、総会や支部会では必ず臨時託児所を設けています。現在、教室には女性の病理専攻医が2名在籍しています。
国外留学を積極的に推奨しています。世界標準の病理診断や研究の新しい知識・技術を会得すること以上に、実際に海外で生活し研究・研修を行なうことで国際的視野を身につけることができます。診断病理および実験病理のどちらにおいても、本人の希望に添って対応します。留学に際しては、しっかりした研究あるいは研究に対する考え方と能力・技術が必要ですが、当教室で研修すればその条件は充たされます。
留学レポートはこちら
平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 |
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3名 | 3名 | 3名 | 2名 | 3名 | 1名 | 3名 |
平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 |
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4名 | 2名 | 4名 | 4名 | 5名 | 2名 | 1名 |
大学院に入学するための条件は、「病理学を勉強したい」という以外には特にありません。病理専門医になりたい、病理学的研究がしたい、病理がわかる臨床医になりたい、いずれでもOKです。学部卒後すぐでも結構ですが、病理専門医の受験資格認定の条件に臨床研修の修了が挙げられており、通常は臨床研修終了後に大学院に入学します。 尚、広島大学大学院では、既卒者で社会人として病院等に在職のまま就学できるように、昼夜・休日開講制大学院にしています。さらに、初期研修医2年目から基礎医学研究室としての分子病理学研究室に大学院生として入学することが可能です。
病理医を目指す人にとっては、合計4年間で、「病理専門医」と学位「博士(医学)」の両方を取得できることが大きなメリットです。さらに、医歯薬保健学研究科における充実したプログラムにより、横断的知識を身に付けることができます。何よりも大切なことは、病理医としてあるいは臨床医としてやっていくにおいても、日々進化する先進医療を実践するためには研究マインドであり、大学院時代にそれは醸成されます。
研究の進歩状況によっては、早期修了(3年間で学位取得)も可能です。研究テーマは、がんの分子病理学的研究の範囲内であれば、本人の希望を考慮して決定します。特に、希望がない場合でも、未知のことがとても多い分野なので最先端の興味の持てる研究テーマを考えます。年限内の学位取得を原則としていますから、頑張れば必ず論文になるテーマと少し大きい課題の2本立てを考えています。
有機的な流動性のある環境で人材を育成します。広島県内に留まらず、前述の神戸大学、奈良医科大学、国立がん研究センターをはじめとする分子病理(第一病理)グループの大学/研究所/病院トータルでの人材交流が可能です。
死体解剖資格、病理専門医(日本専門医機構)、病理専門医研修指導医、日本病理学会分子病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医
日本専門医機構は「専門医」について「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに、先端的な医療を理解し情報を提供できる医師」と定義しています。
また、「専門医制度」については、
病理専門医は、2年間の臨床研修を終了後、「病理専門研修プログラム」に従い、専攻医として3年間以上病理の研修をした後に受験資格が得られます。
関連リンク:
専門医制度
広島大学病理専門研修プログラム
病理専門医試験概要 2日間(I型、II型(IIa、IIb、IIc),III型試験および面接)
I型試験:30題の写真問題と20題の文章問題からなる。
II型試験:主に外科病理学の全般的な知識を問う検鏡試験で,IIa, IIb, IIc 型に分かれている。
III型試験:病理専門医試験および口腔病理専門医試験に共通で,剖検症例が出題される。
面接:III型試験の解答用紙を参考資料とし,III型試験の理解を口頭試問により確認するという形式で行われる。
病理専門医試験の詳細はこちら
病理は医療の要であり、個々の臨床領域の高度化・専門化により精度の高い診断が求められています。分子標的治療の進展により、その標的診断 を担う病理学の重要性は一層高まり、さらに、がんゲノム医療が実臨床で行なわれるようになり分子病理医の存在が不可欠になっています。しかし、それを担う病理医は十分でないのが現状です。その解消に向けて、まず、これからの医療・医科学における病理学の重要性のみならず素晴しさ・楽しさを示すことにより病理医を目指す学生/医師を増やし、積極的に病理専門医を育成するとともに、関連病理学教室と力を合わせ、また、臨床各科と連携し、先進的な医療においても質の高い病理診断を提供していく所存です。
一方、従来の形態学的観察に加えて、分子生物学的、細胞生物学的、生化学的な考え方および手法を導入した「分子病理学」は、膨大なゲノム・遺伝子情報を基 盤に、蛋白の機能に留まらず形態異常までをも包括する「形態学的ゲノム研究」の担い手です。分子病理学的研究から得られた基盤情報は、疾病の診断・治療・予防の新しい展開に大きく貢献しています。シーズの発見を臨床現場に還元するトランスレーション、ゲノム医療の進展の中で、診断の中心に位置し「ゲノム・形 態・臨床架け橋」の担い手である病理学の重要な方向性であると考えています。